研究 Research

開発工学研究室打ち合わせ(2003/06/05)

内容

■題名
都市熱環境評価のための人工排熱曲線の作成
■資料
配布資料(PDF)
■Q&A
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概要

ヒートアイランド現象の顕在化にともない,都市熱環境の評価・研究がおこなわれるようになってきている.これらの評価に際しては,メソスケールレベルでのシミュレーションを基本としているが,メソスケールレベルのシミュレーションにおいて都市化の産物の一つである人工排熱データをどのように入力するかを,著者らはひとつの問題と考えている.現状では,大半のメソスケールモデルでは,エネルギー消費量をそのまま人工排熱量と捉えて,モデルに代入している.しかし,この場合,建築断熱やヒートポンプ冷暖房による発熱から排熱までの時間遅れを全く表現できない.一方,メソスケールモデル内に建築熱負荷モデルを組み込み排熱計算をおこなっている例もある.しかし,計算量の観点から,部分的にしか建築熱負荷モデルを組み込めない.

本研究では,空調機器および建築形態による排熱の時間遅れについて分析をおこなった.特に,メソスケールモデルでのシミュレーション分野においてよく用いられる時刻別人工排熱曲線を描き,都市街区ではなくメソスケールレベルで容易に時間遅れを考慮できるようにすることを目的とした.

手法としては,著者らが開発した後退差分法に基づく建築熱負荷モデルを用いて,建築物の毎時の保有熱量を計算した.これと空調排熱量および外気温度を考慮することにより,毎時の排熱量を計算,人工排熱曲線の作成をおこなった.

上記手法を用いて排熱曲線を作成したところ,空調需要に関しては,排熱を他の需要による排熱とは別に考慮した場合,負の排熱となっている時間帯も存在し,排熱を熱需要とは別に考慮する必要性が示された.

Last update: Jun 10, 2003
井原 智彦(ihara-t/aist.go.jp)