研究 Research

開発工学研究室打ち合わせQ&A (2003/06/05)

不明な点があれば、井原までどうぞ。E-mail(ihara-t/aist.go.jp)でも、また、直接来ていただいても(工学部4号館228研究室)構いません。
質問は、[Q1]〜[Q3]の計3問でした。

目次

計算条件
  1. 用語
計算結果
  1. 建築物の排熱特性
  2. 都市熱環境モデルにおける人工排熱
参考文献

計算条件

1. 用語

Q1

COPとは何の略で、どういった意味なのか?

A

COP(coefficient of performance)は、「成績係数」と訳されます。冷暖房でのCOPは、冷暖房機への投入エネルギーを分母に、冷暖房機が出力する冷温熱量を分子にとった値です。

暖房の場合、温風ヒーターや石油ストーブのような空調装置だとCOPは1を超えませんが、ヒートポンプのように屋外から室内に熱を組み入れる方式の装置では、COPは3-5程度に達します。

計算結果

1. 建築物の排熱特性

Q2

冬に空調を使用するときは、COPに関わらず、排熱はおこなわれないのか?

A

空調需要に伴う排熱は、他の排熱とは異なり、次の2種類が存在します。暖房(冬期)の場合を例に、説明します。

前者の排熱は建築躯体を通じて熱が排出されるのに対し、後者の排熱は直接空気をやり取りすることによって熱が排出されるため、都市熱環境シミュレーションモデルでは、前者を地表面における排熱、後者を大気最下位層における排熱と区別して、計算をおこなっている研究例も見られます。

今回は、両者を合算した形での排熱曲線を示しました。

2. 都市熱環境モデルにおける人工排熱

Q3

都市街区上において、それぞれの建築物が、どの時間帯がヒートシンクとなり、どの時間帯がヒートソース(熱源)となっているか見られたら面白いと思う。

A

近藤らのキャノピーモデル[A,B]を用いた場合、都市街区における建築物は1種類となってしまうので、そういったことが評価できなくなってしまいます。本研究で示した方法では、建築物(業種)ごとに予め人工排熱曲線を描いておくことで、厳密性は欠きますが、冷熱源(ヒートシンク)・温熱源(ヒートソース)の分布を見ることができるのではないか、と考えています。

参考文献

1. 参考文献

Bibs
[A]
近藤裕昭, 劉発華.
1次元都市キャノピーモデルによる都市の熱環境に関する研究.
大気環境学会誌, Vol.33, No.3, pp.179--192, 1998.
[B]
亀卦川幸浩.
熱環境と空調エネルギー需要の相互作用を考慮した都市高温化対策.
平成13年度博士論文, 東京大学, 2001.
Last update: Jun 10, 2003
井原 智彦(ihara-t/aist.go.jp)