研究 Research

研究の概略

 近年、地球温暖化を始めとして、さまざまな環境問題が至る所で顕在化してきています。

 これに対応して、対策技術も次々と開発されてきています。しかし、従来の公害問題と異なり、近年の環境問題の構図は複雑であり、たとえば、環境問題1に対する技術Aが環境問題2を引き起こしてしまうことは十分あり得ることです。また、環境問題1だけをとってみても、技術Aと技術Bとがあって、どちらを技術導入対象に導入すればよいのか、あるいは併用して導入すべきなのか、はたまた全く別の技術Cが好ましいのか、悩ましい問題です。また、実際に導入するとなれば、環境改善量だけではなく、経済性も問題となってきます。

 ここで、個々の技術を要素技術、導入対象をシステムと呼ぶと、図1が描けます。

図1 要素技術とシステムの関係

 要素技術単体ではなく、システムに導入したときの要素技術の総合的な評価をおこないます。そして、最終的には、現状のシステムを改善するには、どのような要素技術をどれだけの規模でどのような組み合わせで導入すればよいのか、また、その際、どのような支援策が望ましいのか、について提案するのが、大まかな研究テーマです。図2→図3がイメージです。

図2 現状のシステムを改善するには……?

図3 このように導入すれば改善できるはず!(導入方策の提案)

研究の流れ

  1. まず、現実システムのモデル化をおこないます。具体的には、現実システムの動きをコンピュータ上で再現できるようにシミュレーションモデルを開発します。
  2. 状況が許せば、現実の振る舞いとシミュレーションモデル上での振る舞いが一致するかどうか、検証作業をおこないます。
  3. 次に導入する技術のデータを文献を調査したり場合によっては自ら実験をおこなったりして得ます。ここでいうデータとは、シミュレーションモデルに代入する値のことです。
  4. データを整えた上で、標準ケース、さまざまな対策技術導入ケースに関してそれぞれシミュレーションモデルを動かし、環境改善量や経済性を算出します。それらの結果より、経済性の制約条件の下で、環境改善量という目的関数をどれだけ大きくとれるか、を考えます(場合によっては他の指標なども考慮します)。
  5. その他、シミュレーションモデルで表現しにくい、現実の導入にあたっての法的あるいは社会的制約なども考慮し、現実に導入できるかどうかを検討します。

キーワード

 研究の大まかな概略におけるキーワードは次の通り。

 要素技術システムエネルギーシステム工学地球環境問題の対応策評価数値シミュレーション

研究内容

研究テーマ(卒業論文〜現在)

 過去から現在に至るまでの研究テーマをまとめてあります。

研究室における打ち合わせ

 開発工学研究室では、週に1回、「打ち合わせ」と呼ばれる研究室全体ゼミをおこなっており、そこで各学生は定期的に研究進捗状況を発表するような仕組みがとられています。リンク先にあるのは、その際、発表に用いた資料です。

文献リスト

 自分が関わった研究に関する公開文献の一覧です。

Last update: May 4, 2003
井原 智彦(ihara-t/aist.go.jp)